2018年に読んだ本ベスト

1.『官僚制のユートピア』デヴィッド・グレーバー

2.『DC ニューフロンティア』ダーウィン・クック
3.『金の仔牛』佐藤亜紀
4.『遊星よりの昆虫軍X』ジョン・スラデック
5.『女嫌いのための小品集』パトリシア・ハイスミス
6.『カエアンの聖衣』バリントン・J・ベイリー
7.『広告する小説』ジェニファー・A・ウィキー
8.『都市と都市』チャイナ・ミエヴィル
9.『宗教からよむ「アメリカ」』森孝一
10.『ワイオミングの惨劇』トレヴェニアン
 
年末年始、どうしてもこのベストが面白いと思えなかったのでやらなかったが、今見るとそれなりに昨年の己の精神状況がうかがえたので掲載してみた。
 
1.は『負債論』で有名な著者の最新作。身近なところに目が向いているところが楽しく、日々、書類仕事に憎悪を燃やしている人間として面白く読んだ。
 
2.は故ダーウィン・クックによる素晴らしき名作コミック。もしDCで1作薦めるなら、これを差し出すだろう。というか既に知人に貸しまくっている(とにかく読んで!)
 
3.はあまりにも面白くて久しぶりに徹夜で読んでしまった。
 
4.『ロデリック』が傑作だったので、スラデックはどれも面白いのだろうと踏んで読んだ。思いのほか『ロデリック』と共通するところが多い。人間の知性や言語に対する冷徹な評価が好きだ。
 
5.は女嫌いの自分にぴったりかと思い読んだ。
 
6.昨年読んだ一番面白いSF。この1冊をSFの面白さの指標として考えたい。あと解説でめちゃくちゃ馬鹿な作品みたいに言われているが、「服が人なり」というワンアイデアの展開と発展、そしてメインアイデアを補強するサブプロットの存在など、一見バラバラに見えるエピソード同士の構築性が高く、言われているほどアホではないと思う。
 
7.広告が文学を引用し、文学が広告を引用し、明らかになるのは両者の親和性である。
 
8.は個別記事を立てた。
 
9.アメリカがキリスト教的価値観を国家原理に据えつつも、実質的に多神教的な状況が出来上がっているという、かなり分かりやすい見通しが得られる。また、宗教保守についてもある程度の概略を知ることができた。多分この分野では基本書なんだろうけど、今まであまり知らなかった。
 
10.『グラン・ヴァカンス』の元ネタの一つと聞いて読んだけど、どうやらそれは『バスク、真夏の死』の方だったようだ。内容は陰惨なウエスタン小説で、確かにちょっと変わっているけど、西部劇はいくつもの異色作を抱えている巨大なジャンルなので、これでも十分にジャンルの枠内に収まる作品ではないでしょうか。
 

 

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

 

 

DC:ニューフロンティア 上 (DC COMICS)

DC:ニューフロンティア 上 (DC COMICS)

 
DC:ニューフロンティア 下 (DC COMICS)

DC:ニューフロンティア 下 (DC COMICS)

 

  

金の仔牛

金の仔牛

 

 

遊星よりの昆虫軍X (ハヤカワ文庫SF)

遊星よりの昆虫軍X (ハヤカワ文庫SF)

 

  

女嫌いのための小品集 (河出文庫)

女嫌いのための小品集 (河出文庫)

 

 

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

 

  

広告する小説(異貌の19世紀)

広告する小説(異貌の19世紀)

 

  

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 

  

宗教からよむ「アメリカ」 (講談社選書メチエ)

宗教からよむ「アメリカ」 (講談社選書メチエ)

 

  

ワイオミングの惨劇 (新潮文庫)

ワイオミングの惨劇 (新潮文庫)