2016年上半期 家で見た映画ベスト


1『ヴィジット』M・ナイト・シャマラン
2『ロング・グッドバイロバート・アルトマン
3『ルドガー・ハウアー 危険な愛』ポール・バーホーベン
4『剣』三隅研次
5『私はゾンビと歩いた』ジャック・ターナー
6『石の微笑』クロード・シャブロル
7『M』フリッツ・ラング
8『バッド・ルーテナントヴェルナー・ヘルツォーク
9『アポロ13』ロン・ハワード
10『ヒトラー暗殺、13分の誤算』オリヴァー・ヒルシュピーゲル


めんどいから感想はてきとう。

『ヴィジット』。記事は書いてる

ロング・グッドバイ』。とてもよかったです。

『ルドガー・ハウアー 危険な愛』。汚いゴダール。ベッドでヤってる女の、赤子が泣くからっていって、セックスしながら揺り篭を手につかんで、上下運動に合わせて揺らすところが最高。よく思いついたな。

『剣』。よかったです。

『私はゾンビと歩いた』。神がかり的です。

『石の微笑』。この人は晩年の作品くらい洗練が行き過ぎているとかえって面白いですね。

『M』。すごかったです。

バッド・ルーテナント』。ハリケーンカトリーナを触媒にして、ニューオリンズをまるで異国のジャングルのようにして撮っている。爬虫類と黒人の多用がその雰囲気づくり。あの写真を指差しながら叫ぶ女性の声の黒人らしい粘っこさ。「獣性」とヘルツォークは語るが。そして、ラリラリ悪徳刑事のニコラス・ケイジのヤク中感が、前述の異国性とあいまって、現実のもろもろのキツさを癒してくれる。癒しとしてのドラッグ感覚がある。ラストの水族館には思わず涙である。

『アポロ13』。バストショットばかりだが、ハードボイルドに徹する宇宙飛行士とNASA職員、及びフィクションならではの価値観の反転を備えていることで名作足りえている。注目されないフライトであることは、発射成功後の公的な地球へのメッセージをごく私的な家族へのメッセージへと変奏する美質になり(価値観の反転)、逆にトラブルが起こったあと急に注目しだすマスコミ関係者を頑なに拒否する妻の行動こそを英雄的なものにする。本作で最もハードボイルド的な冷静さを保っているエド・ハリスは一番美味しい役だ。登場場面からして、妻から送られたベストを先に見せて、そのあとアップショットを撮る。スター扱いである。あとは混乱した状況下で"Stay cool", "Calm down"と繰り返させる。ハードな事態にこそ冷静たれ、プロフェッショナルたれというわけで心理は語らず、観客に推し量らせる。前半はアポロ13号の「13」にまつわる話など、とにかく些細で実際的なイベントを積み重ねて、不吉さを醸成していく演出である。既に人類の月面着陸が達成されたあとの、注目されないフライトである点や、熟練のチームメイトが直前で外れる不運など、そして代打の人間が好色であったりもする(むろんケビン・ベーコンである)。エド・ハリスに関しては、タバコを吸わせるタイミングも完璧だと思う。ベストとタバコのいち早く特権的な導入が、この映画で一番アウトローじみた顔をしているこの役者を際立たせる。また、ミッションから外された宇宙飛行士は、直前に外されたからこそ可能な任務によって三人を生還させることができる。これもドラマ的な反転だ。さらに、「好色」としか描写されていなかった代打バッターも、操縦士という職業的運動を通じて真にチームメイトとなる。利害関係を越えた友情! 「医者」は職業的運動を共有しないので、最後まで徹底的に冷遇される。ちょっとかわいそうではあった。トム・ハンクスら三人の宇宙飛行士は、月面を踏むことができないので、ただ月を見つめることになる。あるいは、「それはもう見た」と言って、観客に冒頭の妻との幸福なやりとりを思い出させる。そういう反転的で、ロマンチックな美しさがある。

ヒトラー暗殺、13分の誤算』。よかったです。

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剣 [DVD]

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私はゾンビと歩いた! 《IVC BEST SELECTION》 [DVD]

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M (エム) CCP-271 [DVD]

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ヒトラー暗殺、13分の誤算 [DVD]

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