2017-01-01から1年間の記事一覧

アンディ・ムスキエティ『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 IT(IT:chapter one) 2017年 アメリカ 135分 監督:アンディ・ムスキエティ 吃音症の兄につくってもらった紙の船を、弟は排水溝に落としてしまう。このままでは兄に怒られると危惧した弟はその船を拾おうとするのだ…

マックG『ザ・ベビーシッター』

ザ・ベビーシッター The Babysitter 2017年 アメリカ 85分 監督:マックG 背伸びしたい時期なのに、注射が苦手で、クモがこわくて、美人のベビーシッターまでつけられているから学校ではいじめられている男の子が、両親不在のある日そのベビーシッターが夜…

ジェシカ・ハウスナー『ルルドの泉で』

ルルドの泉で LOURDES 2009年 オーストリア、フランス、ドイツ 99分 監督:ジェシカ・ハウスナー 病気のせいで車椅子生活をしており、世話をしてもらわなければ食事をすることも、ベッドに寝ることも一人ではできないクリスティーヌという女性が、聖地ルルド…

飛浩隆「自生の夢」について

以下、「自生の夢」に関する重大なネタバレがあります。 昨年末に出た短編集『自生の夢』を読んだ。昨年末に出たといっても完全な新作があるわけではなく、むしろ既出の短編を集めたものなので、わたしにとっては実質的に再読ということになる。かなり広い期…

ピーター・バーグ『パトリオット・デイ』/映画という交霊術

ピーター・バーグ『パトリオット・デイ』を見た。 前半が編集についての映画、後半がボストンを舞台にした事実上の軍事作戦、ということでコンセプトの面白い映画だった。それにしても、ボストンというのは本当にこれほどにもアメリカらしいリバタリアン精神…

M・ナイト・シャマラン『ハプニング』

シャマランのブルーレイを買いまくったので見ていく。『ハプニング』は約5年前に見ていて、当時の感想がこんなかんじ。 奥さんの無表情を観る度に驚く。悪い作品ではないのだと思うし、風だけで恐怖を煽り、ワンカットの中で滑稽なほどあっけなく人を殺して…

M・ナイト・シャマラン『スプリット』

シャマランの新作『スプリット』を見てきた。前作『ヴィジット』は自分にとってもその年のベストで、続くこの映画が大ヒットしていると聞いて嬉しい思いだったが、実際に見てみると困惑するのだった。アバンタイトルこそ、情報の出し方、シーンの省略に濃密…

増村保造『爛』(1962年)

爛 [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2014/06/27メディア: DVDこの商品を含むブログ (1件) を見る ぬっと手が出てくる。テレビやソファのある雑然とした室内が写されたかと思えば、そのソファの真ん中あたりから手が出てくるところからこの…

石田敦子『魔法少年マジョーリアン』、矢部嵩「中耳炎」

〇石田敦子『魔法少年マジョーリアン』を読んだ。こういう漫画が大好きだったことを思い出した。女っぽくていじめられている男の子と、その子をいじめている悪ガキが一緒に巨乳美少女に変身して敵と戦うことになるという話。淫獣の名前がジェンとダーでジェ…

自分から遠く離れたい

よく小説について「なにを伝えたかったのか」とか「なにを表現したかったのか」と問われることがあって、これは小説に限らず制作一般についてよくよく誤解されていることだと思う。まあ確かにそういう部分がないわけではないけど、とても長い文章を書くとき…

湯浅政明『夜は短し歩けよ乙女』を見てきました。

湯浅政明『夜は短し歩けよ乙女』を見た。なんだか歯に物がはさまったような感じだ。面白いところ、上手いところ、盛り上がるところ、色々とあるにはあるんだけど、今一歩肯定できない感じ。かといって駄目だというわけでもない。この作品に楽しめない自分自…

リチャード・フライシャー『恐怖の土曜日』(1955年)

恐怖の土曜日 [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2015/02/04メディア: DVDこの商品を含むブログを見るリチャード・フライシャー『恐怖の土曜日』を見たが、とても視覚的な映画で素晴らしかった。フランス版ではフリードキンがこの映画について…

強いショットとはなにか(について書いていたら脱線していった)

近頃、映画や小説を楽しんだあと、その内容についてあれこれ分析的に考えることに興味が薄れてきた。 (こう書くと語弊があるように思えるが)それと反比例するように気になって仕方がないのが、まさに映画を見ているとき、小説を読んでいるときに、自分自身…

ブライアン・エヴンソン「年下」

ブライアン・エヴンソン『遁走状態』を読んでいると、下のような文章に出会った。ときどき、このように完全に正しいと思われるような明晰な文章に出会うことがある。もちろん、小説を読む醍醐味はそういうところにあるわけではないが……日々不足しがちな共感…

ウィリアム・フォークナー『サンクチュアリ』の読みにくさ

題名通り、フォークナーの『サンクチュアリ』を読んでいる。そして、死ぬほど読みにくい。ちなみにここで、なぜ読みにくいのかを切れ味よく解説するつもりはない。フォークナーの長編としては短いものだし、「フォークナーのなかではわかりやすい」という評…

保坂和志『小説の自由』のメモ(1)〜一覧性のある媒体とない媒体〜

保坂和志『小説の自由』を読んでいたら、以下のような文章に出くわした。ピエール・ブーレーズという現代音楽の作曲家であり指揮者である人の著作『クレーの絵と音楽』からの引用だそうだ。 音楽において、時間の知覚、モジュールの知覚はまったく異なり、絵…

デヴィッド・リンチ『イレイザーヘッド』

イレイザーヘッド デイヴィッド・リンチ リストア版 [Blu-ray]出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン発売日: 2013/08/23メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (7件) を見る今更ながら『イレイザーヘッド』を見ていた。 見たこ…

トム・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』

スポットライト 世紀のスクープ (字幕版)発売日: 2016/09/07メディア: Prime Videoこの商品を含むブログ (10件) を見る『スポットライト 世紀のスクープ』を見た。とてもいい映画だった。『ゾディアック』以来の調べ物ハイ映画だ。特に面白いと思ったのは、…