読書

読書日記:フリッツ・ライバー『妻という名の魔女たち』

フリッツ・ライバーを読みたい気分なので、『妻という名の魔女たち』を読んでいる。 まだ半分ほどだが、内容としては保守的な土地柄にあるヘンプネル大学で教えているノーマンという教員が、妻の魔術道具を見つけてしまったことをきっかけに、実は教員たちの…

2018年に読んだ本ベスト

1.『官僚制のユートピア』デヴィッド・グレーバー " data-en-clipboard="true">2.『DC ニューフロンティア』ダーウィン・クック " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">3.『金の仔牛』佐藤亜紀 " data-en-clipboard="true"> " dat…

中島哲也『来る』と澤村伊智『ぼぎわんが、来る 』を比較してみた

昨年公開映画ということもあり旬を大きく逃しているけど、そのうち中島哲也については書きたいと思っているので試しに書いてみた。 映画化に際して『ぼぎわんが、来る』から変更された点を列挙するので、当然ながらネタバレしています。 原作から大きく変わ…

読書

先のことを気にしなくてもいい休日に小説を読んでいると、そもそも小説とはこういう状況で、暇をつぶすために読むものなのだということを強く実感する。 2~3時間は拘束されることが確定している新幹線の中以上に読書がはかどる場所があるだろうか? 土地…

チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF) 作者: チャールズストロス,Charles Stross,金子浩 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2006/06/01 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 59回 この商品を含むブログ (86件) を見る チャールズ・ストロス『シンギュ…

石川博品の小説『メロディ・リリック・アイドル・マジック』、通称メロリリを回顧する

この間、引越し準備のために本棚を整理していて、石川博品の小説『メロディ・リリック・アイドル・マジック』、通称メロリリを発見し、ついページをめくっていると、2年半ほど前に発売されたときに読んだ記憶がよみがえってきた。 当時、読んでいる途中に連…

J・G・バラード『ミレニアム・ピープル』読書会

ミレニアム・ピープル (創元SF文庫)作者: J・G・バラード,増田まもる出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/06/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る千年紀の民 (海外文学セレクション)作者: J・G・バラード,増田まもる出版社/メーカー: …

『岸辺露伴は叫ばない』

荒木飛呂彦によるスピンオフ『岸辺露伴は動かない』シリーズが、奇想短編のプラットフォームとして便利そうだな、と思っていた矢先、『岸辺露伴は叫ばない』という複数作家によるノベライズを発見し、本当に奇想短編のプラットフォームになっていたので読ん…

チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』/フィクションの消滅

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)作者: チャイナ・ミエヴィル,日暮 雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/12/20メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 113回この商品を含むブログ (106件) を見る ミエヴィルの『都市と都市』を読んだわけだけど……原書が200…

フリッツ・ライバー『闇の聖母』読書メモ

以下すべて早川書房から出ている文庫本準拠。 「すくなくとも、音楽にはひとつだけ超自然的な力があるよ。それは浮揚できる――空中を上昇してゆけるんだ。むろん言葉にだってその力はあるが、音楽ほどじゃない」 「どうしてそう思うの?」彼女は肩ごしにたず…

アルトナン・アルトー『ヘリオガバルス あるいは戴冠せるアナーキスト』読書メモ

墓なき死者、しかも己れの宮殿の便所のなかで護衛の兵士に喉をかき切られて殺されたヘリオガバルスの骸のまわりに、血と糞便の激しい循環があるならば、彼の揺り籠のまわりには精液の激しい循環がある。ヘリオガバルスは誰もが誰とでも寝ていた時代に生まれ…

プルースト『失われた時を求めて』読書メモ ♯1

読了までに時間がかかりそうなので、逐一メモにして残していく。 以下すべて岩波版の『失われた時を求めて』1巻より引用。 われわれのまわりに存在する事物が不動の状態にあるのは、それがそれであって他のものではないというわれわれの確信のなせる業であ…

2017年 読んだ本ベスト

1.ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って』 2.ピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』 3.蓮實重彦『ハリウッド映画史講義:翳りの歴史のために』 4.木下古栗「表現と書く技法 ――『グローバライズ』創作をめぐって…

飛浩隆「自生の夢」について

以下、「自生の夢」に関する重大なネタバレがあります。 昨年末に出た短編集『自生の夢』を読んだ。昨年末に出たといっても完全な新作があるわけではなく、むしろ既出の短編を集めたものなので、わたしにとっては実質的に再読ということになる。かなり広い期…

石田敦子『魔法少年マジョーリアン』、矢部嵩「中耳炎」

〇石田敦子『魔法少年マジョーリアン』を読んだ。こういう漫画が大好きだったことを思い出した。女っぽくていじめられている男の子と、その子をいじめている悪ガキが一緒に巨乳美少女に変身して敵と戦うことになるという話。淫獣の名前がジェンとダーでジェ…

強いショットとはなにか(について書いていたら脱線していった)

近頃、映画や小説を楽しんだあと、その内容についてあれこれ分析的に考えることに興味が薄れてきた。 (こう書くと語弊があるように思えるが)それと反比例するように気になって仕方がないのが、まさに映画を見ているとき、小説を読んでいるときに、自分自身…

ウィリアム・フォークナー『サンクチュアリ』の読みにくさ

題名通り、フォークナーの『サンクチュアリ』を読んでいる。そして、死ぬほど読みにくい。ちなみにここで、なぜ読みにくいのかを切れ味よく解説するつもりはない。フォークナーの長編としては短いものだし、「フォークナーのなかではわかりやすい」という評…

保坂和志『小説の自由』のメモ(1)〜一覧性のある媒体とない媒体〜

保坂和志『小説の自由』を読んでいたら、以下のような文章に出くわした。ピエール・ブーレーズという現代音楽の作曲家であり指揮者である人の著作『クレーの絵と音楽』からの引用だそうだ。 音楽において、時間の知覚、モジュールの知覚はまったく異なり、絵…

2016年 読んだ本ベスト

1.マルセル・プルースト『失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI 』 2.ジョン・スラデック『ロデリック:(または若き機械の教育) 』 3.ダシール・ハメット『血の収穫』 4.パオロ・バチガルピ『神の水』 5.チャールズ・ストロス『残虐行為記録…

小説が読めない

雑談であるが、ここのところ小説が読めないでいる。求心的な物語のあるやつは読める。しかし散文的なだらーっとした時間に浸るような読書体験ができなくなっているのだ。映画を見ていてもすぐにスマホに手が伸びるし、集中力が続かない。 時間芸術なのに、時…

備忘録:イーガン「銀炎」について

グレッグ・イーガン「銀炎」を読んだ。これは面白いと思う。スピリチュアルな人々へのイーガンのネガティブな感情が描きこんであって、それが愚かさへの差別感情、狂気、恐怖へとスケールアップしていく。具体的な素材も豊富で、この件に関するイーガンの怨…

ローベルト・ヴァルザー『タンナー兄弟姉妹』

ローベルト・ヴァルザー作品集 1 タンナー兄弟姉妹作者: ローベルト・ヴァルザー,新本史斉,フランツ・ヒンターエーダー・エムデ出版社/メーカー: 鳥影社・ロゴス企画部発売日: 2010/07/30メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (9件) を見る …

映画・小説の本懐

よく映画や小説に「内容がない」と言われる時がある。大体の場合その「内容」とは、物語だったり、テーマだったり、感情移入だったりといった、なにがしかその鑑賞者が理解し、納得することのできる紋切型のことを指していることがほとんどで、映画なり小説…

レイ・ブラッドベリ『刺青の男』

2013年に刊行された、新装版の『刺青の男』を知人からプレゼントされたので読んでいる。 全部読んだので、これで完成。 ・「プロローグ 刺青の男」 枠物語である。この短編集の収録作は、この「刺青の男」の全身に刻まれた動く刺青という設定。・「草原」…

資本主義と小説の文体について

S・G・ブラウンの『ぼくのゾンビ・ライフ』を読んでいるのだが、これがどう見てもチャック・パラニュークの影響を受けたとしか思えないような文章を書くのである。たとえば、こんな具合だ。 両親が迎えに来るまでの2日間を、SPCA(動物虐待防止協会)…

ケリー・リンク「いくつかのゾンビ不測事態対応策」

最近ゾンビについて書いていたので、ふとケリー・リンクの「いくつかのゾンビ不測事態対応策」を再読してみた。相変わらずよく分からない話だ。ソープという刑務所帰りの男が、とあるパーティにひっそりと侵入して、カーリーという女の子と話す。カーリーは…

ポール・オースター『孤独の発明』、あるいは書くことについて

孤独の発明 (新潮文庫)作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/03/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 56回この商品を含むブログ (78件) を見るポール・オースターの小説家としての処女作『孤独の発明』を読んだ…

〈耳刈ネルリシリーズ〉をまとめて

今更ながら、ずっと前に再読した〈耳刈ネルリシリーズ〉の感想をここにまとめておこうと思った。これを書いているのは、金曜日の深夜。夜更かしにはもってこいだ。 ・『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』 耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)作者…

レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ』

ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)作者: レイ・ブラッドベリ,大西尹明出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/02/27メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 44回この商品を含むブログ (67件) を見る途中まで。 読み終わったら順次更新していく予定。 ・「ウ…

2014年上半期に読んだ本ベスト10

今日の昼ごはんにエビピラフを食べながらジュネの『泥棒日記』を読んでいたんだけど、書き出しの「徒刑囚の服は薔薇色と白の縞になっている」という文章を見て、つい自分の着ている服を確認してしまった。さんざん「『ウォーリーを探せ』のウォーリーみたい…