2015-01-01から1年間の記事一覧

ドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009)/暴力、痣、贖罪

日陰で書いたものを日向に移していこうキャンペーン、その3。 ◆前置き まぎれもない大傑作であるこの映画のすごさは、実際には非常にこまごまとした工夫とそれぞれの的確さにあるとは思う。逆算の脚本。豊富なユーモアと遊び。アクションですべてを演出する…

クリント・イーストウッド『アメリカン・スナイパー』(2014)/主観の向こう側へいく英雄

8か月前に書いた感想を今更ここに。 日陰で書いたものを日向に移していこうキャンペーン、その2。 ◆総じて ショットに目を見張るものはない映画である。まあ最近のイーストウッドはそういうとこで勝負する映画を撮らないけど。画面だけを見ても、他のイラ…

連載小説『ミスティック・アメリカ』第11話「ロサンゼルス・ノクターン」を投稿しました。

http://ncode.syosetu.com/n2766cc/13/ こちらが第11話「ロサンゼルス・ノクターン」です。結局、2か月くらいかかってしまいました。 全然ダシール・ハメット出てこねーじゃねーか、という声が聞こえてきそうですが、予定は未定というわけです。 あ、あと…

デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』(2014)

9か月前に書いた感想をいまさら投稿。 ちょっとずつ、日陰で書いたものを日向に移していこうと思う(あと『虐殺器官』レビューからの逃避もある)。 ■総合的に フィンチャーの中では『パニックルーム』、『ゾディアック』、『ベンジャミン・バトン』が好き…

最近見た映画(ウェス・クレイヴン『壁の中に誰かがいる』、清水崇『ラビット・ホラー』)

・ここ最近、メルヘンに近い構造を持つホラー映画を立て続けに二本見た。・まず、ウェス・クレイヴン『壁の中に誰かがいる』。・撮影・照明であるとか、活劇としてどう、とかいう感想は今回は脇に置いておきたい。・町に圧制を敷いていて、その根城にたんま…

 連載小説『ミスティック・アメリカ』第10話「ある英雄の死」を投稿しました。

http://ncode.syosetu.com/n2766cc/12/ こちらが、第10話「ある英雄の死」です。前回から8か月も経過していてマジすんません、という感じですが、賞に応募するための長編とかをしこしこ書いたり、社会人やりながら執筆するペースを掴んだり、ちょっとプラ…

映画・小説の本懐

よく映画や小説に「内容がない」と言われる時がある。大体の場合その「内容」とは、物語だったり、テーマだったり、感情移入だったりといった、なにがしかその鑑賞者が理解し、納得することのできる紋切型のことを指していることがほとんどで、映画なり小説…

レイ・ブラッドベリ『刺青の男』

2013年に刊行された、新装版の『刺青の男』を知人からプレゼントされたので読んでいる。 全部読んだので、これで完成。 ・「プロローグ 刺青の男」 枠物語である。この短編集の収録作は、この「刺青の男」の全身に刻まれた動く刺青という設定。・「草原」…

2015年上半期 お家で見た映画ベスト10

1.サラ・ポーリー『テイク・ディス・ワルツ』116分 2.デヴィット・クローネンバーグ『スキャナーズ』103分 3.小津安二郎『浮草』119分 4.イエジー・スコリモフスキ『ムーンライティング』97分 5.デヴィット・フィンチャー『ゾディアッ…

資本主義と小説の文体について

S・G・ブラウンの『ぼくのゾンビ・ライフ』を読んでいるのだが、これがどう見てもチャック・パラニュークの影響を受けたとしか思えないような文章を書くのである。たとえば、こんな具合だ。 両親が迎えに来るまでの2日間を、SPCA(動物虐待防止協会)…

近況

・某氏がブログのデザインを変更していたのに釣られて、私も思い切ってガラッと変えました。・といっても単に釣られただけではなく、前のデザインだと、引用する時に右端がものすごく読みにくくなってしまうという悩みもあった。それで、引用部が読みやすけ…

ドン・シーゲル『マンハッタン無宿』(1969)

マンハッタン無宿 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル発売日: 2012/05/09メディア: DVDこの商品を含むブログ (1件) を見るイーストウッド扮するアリゾナの保安官補が、犯罪者の引き渡しのためにニューヨークへと行くという内容である。まあ緩い…

ケリー・リンク「いくつかのゾンビ不測事態対応策」

最近ゾンビについて書いていたので、ふとケリー・リンクの「いくつかのゾンビ不測事態対応策」を再読してみた。相変わらずよく分からない話だ。ソープという刑務所帰りの男が、とあるパーティにひっそりと侵入して、カーリーという女の子と話す。カーリーは…

ポール・オースター『孤独の発明』、あるいは書くことについて

孤独の発明 (新潮文庫)作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/03/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 56回この商品を含むブログ (78件) を見るポール・オースターの小説家としての処女作『孤独の発明』を読んだ…

最近見たアニメ

・せっかく時間が出来たということでアニメを見ている。特に、見逃していた京アニの作品をチェックしようと、まず『境界の彼方』を見たのだが、これが面白かった。物語としてはありきたりなのだけど、見せ方がちょっと普通じゃない。なんというか、色々な演…

近況

・『ミスティック・アメリカ』とは別に、長編小説を書いている。賞に応募するつもりなので、しばらく連載小説である『ミスティック・アメリカ』はお休みということになりそうだ(でもまた終わったら再開する予定)。なんでも、最近まわりの知人ワナビが、プ…

ジェームズ・グレイ『エヴァの告白』(2013)

エヴァの告白 [DVD]出版社/メーカー: ギャガ発売日: 2014/11/05メディア: DVDこの商品を含むブログ (5件) を見る※いつものように、ネタバレしています。 見たのは二か月以上前のことになるのだけれど、とにかく巧くて呻ったので、やはりこれは忘れないうちに…

連載小説『ミスティック・アメリカ』第9話+Interlude01「西部劇」を投稿しました。

http://ncode.syosetu.com/n2766cc/10/ こちらが、第9話「デッドマンズ・ハンド #3」です。http://ncode.syosetu.com/n2766cc/11/ こちらが、Interlude01「西部劇」です。ショートショート。単品でも読めますし、ミスアメの補助線として読むのもアリです。…

ロバート・ロドリゲス『シン・シティ 復讐の女神』(2014)

もう好き嫌いの話にしかならないことを覚悟して書くのだけれど、いつかロドリゲスの非常に雑な映画が見たいと思っていた人間としては、これを見て、ああこれは本当に雑だと思って楽しめた。楽しめたのだ。思えば『マチェーテ』も『マチェーテ・キルズ』もお…