ジェームズ・ウォン『ファイナル・デッドコースター』

ファイナル・デッドコースター
Final Destination 3
2006年 アメリカ 93分
監督:ジェームズ・ウォン

ある高校の卒業イベントが開かれている遊園地で、凄惨な事故を予知した少女はジェットコースターを降りて助かるが、残念ながら彼氏は助からなかったのでずいぶんと落ち込んでしまう。そして、少女のおかげで助かった生存者たちも、また例によって例のごとく死の運命からは逃れられず、次から次へと死んでしまうのだが、少女はその時使っていたデジタルカメラの写真に、これから起きることのヒントが隠されていることに気がつき、みなに警告しようとする。しかし、頭の軽い日焼けサロン通いのビッチ二人組や、唯物論的な考え方をするゴスカップルなどは、その警告を信じてくれない。
演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドがまずかわいい。日本人ウケのする顔立ちだと思う。チアリーダーのコスプレとかしてほしいなと妄想したけど、『デス・プルーフ』に出演したときにチア姿だったことを思い出した。また制作費が格別上がったということもないだろうに、スタッフの腕がいいのか、シリーズで一番映像として安定している。とりわけ冒頭のジェットコースターの場面は、まったく無駄のない的確なリズムで的確なカットが並べられるのでおどろいた。カメラのフラッシュを繰り返してリズムを作り、またジェットコースターを降りようとするヒロインに抗議する黒人生徒が、暴れた拍子にゴス女を殴ってしまうところなどは、編集が小気味よかった。コースターに乗ろうとする場面では、数字の書かれた床がぐいーっと伸びる「めまいショット」もある。そして、みんなが記憶するだろう日焼けサロンのシーン。ともかく焼け死ぬというのがいいし、熱で鏡面が砕けた拍子に、そこに映っているビッチ女の顔も砕けるところなんかは最高で、二人が死んだあとサロンの機械がそのまま棺桶のカットに繋がるメタファーも面白くて退屈する暇がない。あれもこれも画面に意味ありげに映して観客を宙吊りにする演出は、やや控えめになったのか、あるいはこちらが慣れてしまったのか、前作ほど面白くは感じられなかった。なお、まったくそれ自体に意味のない細部だが、パソコンを見ているヒロインの顔とその妹の全身が同じくらいの大きさに見えるパンフォーカスのカットもインパクトがあった。