読んだ:呪術廻戦第228話 人外魔境新宿決戦⑥

これまでの話について

  • いちいち数えてはいないがサブタイトルによれば、五条悟VS宿儺が始まってから第6話目。
  • なるべく既出の情報だけでバトルを組み立てることで、ミステリの解決編のような趣も出ているし、かつ敵味方の最強格同士がリスク・負荷の高い選択肢を取り続けることで「綱渡りのような戦況」を演出することにも成功している(ような気がする)。
    • 五条悟については、領域展開の三連発や、宿儺の領域を反転術式や簡易領域の合わせ技などで凌ぐ様子で、
    • 宿儺については、五条悟の領域展開を術式効果の必中で押し合わずに「五条悟に接触し続ける」ことで回避するなど、ミスを許されない試合運びをしていることなどで、
  • 羂索と九十九の戦いで提示された「お互いの術式が煙たいなら領域勝負に持ち込むのが合理的」というセオリーを今回にも適用したうえで、かつ既出の情報だけで、「五条悟と宿儺が領域勝負したらどうなるか」に結論をつけているのもよかった。
  • 個人的には上記のような要素だけでも、『呪術廻戦』の頂上決戦にふさわしいと感じる。
  • 「なるべく既出の情報だけで」とあるが、「反転術式を焼き切れた生得領域の回復に使える」とか、「領域の要件はコロコロ変更できる」とか、既出ではなさそうなものも出てきている。前者については乙骨に疑念を述べさせるなどして工夫をしている。
    • 乙骨の疑念は、宿儺の領域展開時に五条悟がワープで離脱しない理由の補強になっているのかもしれない。何らかの縛りをしていて、短期決戦を望んでいるとか。そのため、決定打となる無量空処に賭けているとか。

228話の感想

  • 「宿儺はなぜ十種影法術を使わないのか、というか魔虚羅を出さないのか?」、「日車と秤がデフォルトで領域を使えるのはどうして?」など読者が抱く当然の疑問に触れるところが真面目でいい。
  • これまで領域内の戦闘を描いてきたのに対して、三度目は変化をつけて領域内の描写を一切しないという展開。
  • 外から見た領域の空間的大きさと内部の大きさが一致しないのは既出の情報だけど、「結界が小さいほど強度が高い」というのは既出かどうかわからなかった。ただ、気にならない範囲。
  • 今回ラスト2ページで、五条悟の敗北フラグが複数立っていて不穏だ。
    • 五条悟が鼻血を出している。乙骨が散々指摘しているように、五条悟が無理をしておりその副作用が見えてきているというフラグ。
    • 宿儺が領域内で術式を発動しないという事実の指摘と、黒く塗りつぶされた背景に浮かぶ魔虚羅の円陣と「ガゴンッ」という音声。
    • 宿儺が戦闘中に掌印を結んだ形跡が無いので、実は開戦前から魔虚羅を影の中に潜ませている? そしてすでに無下限呪術に適応した?
    • 原理は不明ながら、平常時に生得術式の併用ができるのは羂索VS九十九戦で、羂索が重力操作と呪霊操術を併用していることからもわかる。
    • それでも宿儺は十種影法術を使用しない、、、のではなく実はずっと使っている。
    • 宿儺が受けて魔虚羅が適応するの、しれっと魔虚羅への勝利条件が「宿儺を適応前に屠ること」になっているし、ズルだろ。
    • 影の中に隠れていると六眼で見通せないのだろうか。

今後の予想

  • 五条悟の敗色濃厚だが、魔虚羅で敗北は万戦でやったのでもう一波乱あるんじゃないだろうか。
  • 五条悟がこのまま負けたら味方陣営は必敗じゃん!という声もあるようだけど、死にかけた五条悟の前に鹿紫雲や乙骨が思わず出て行ってしまい、流れでレイド戦に移っても面白いんじゃないかなと思い始めてきた。
  • 宿儺の領域展開はあまりにも一対多に向いているけど、、、

読んだ:『DNSをはじめよう_改訂版第2版』

仕事でDNSについて理解する必要が出てきたので、『DNSをはじめよう_改訂版第2版』を購入して読んだ。

booth.pm

感想

  • DNS がよくわかる教科書』がなかなか読み進まないなと思っていた自分にちょうどいい感じだった。
  • まずドメインを買うところから始まり、手を動かして学べるのがよかった。
  • 書きぶりは軽いノリで、小ネタも豊富なので、堅苦しい教科書と違って読み進めやすい。DNSのことを好きなエンジニアがZennとかQiitaとか個人ブログとかに書いている記事のような印象。
  • なぜか巻末にAWS用語を駆使して作られた架空のアイドルソングの歌詞が載っている。(ちなみに著者は女性らしい。あとがきによれば夫がいる)

実習の内容

以下の行為をすることが前提の内容なので、それらのハードルを乗り越えられるかどうかは購入前に自分に聞いておいた方がよいかもしれない。

  • お名前.comでドメインを買う(数百円)
  • AWSでRoute53を利用する(1ドル未満)。AWSアカウントがない場合は作るところから始める必要があり、作る際は支払情報を登録する必要がある。


自分はお名前.comではなくムームドメインドメインを買ったけど、管理画面が多少違う程度で、実習上の問題はなかった。(レジストラによって対応できるサービスは変わるので、なるべくお名前.com以外を選択しない方がいいかもしれない)



またこの書籍が書かれた当時からAWSのコンソール画面も変わっているけど、これも同様にUIが多少違う程度で、問題はなかった。



AWSGCPと比べて、無料利用枠と有償サービスの境目が分かりづらく、アラートも分かりづらい玄人向けのサービスなので(少なくとも自分はそう思う)、AWSアカウントを不用意に作るのが怖いという場合もあるだろう(自分は別途、他の人の記事を参考に請求アラームを作成した)。



個人的には、多少お金がかかっても実習を含む内容の方が明らかにモチベーションが高くなるので、この本との相性はよかった。



若干の補足

digコマンドを叩くので、最初からdigが使えるMacを利用したほうが実習がスムーズに進むかもしれない。



次のアクション

教材との相性が良かったし、せっかくAWSアカウントとドメイン取ったから、同じ著者の『AWSをはじめよう』を読んでみようかな(DNSは?)

2023年6月29日作業ログ_AWSの設定とか、DNSとか

日記

  • 最近ただでさえ書くことが無さ過ぎるし、映画関連の記事はサブブログ(「映画トンネル」)に書いているので本格的にこのブログに書くことが無い。
  • なのでここを作業ログ的に使うことにした。

AWS

内容

以下の記事を参考に、AWSアカウントに請求アラームを設定した。 CloudWatchで請求アラームを作成する | Zenn

課題

メール通知が実際に届くかどうかがテストできていない。

2023-03-26 22:36:35_フレデリック・ワイズマン『コメディ・フランセーズ 演じられた愛』など

Diary

  • フレデリック・ワイズマンの『コメディ・フランセーズ 演じられた愛』を25分くらい見た。
    • 冒頭、屋外の風景。やがてカメラは屋内へ移る。胸像を捉えた固定ショットが2、3秒のリズムで何枚も切り替わっていく。音楽的な編集。カットが変わるごとに胸像も変わる。変わっていくうちに、まるで無機物にこちらを見られているような嫌な感覚が醸成される。この一連の流れはいつもの通りで(『ナショナル・ギャラリー』とか)、あーワイズマンの映画が始まったと感じられる。
    • そこから、演劇の舞台上にある胸像にカットが移り、そこに何やら俳優?たちが勢ぞろいし、順番に何かセリフのようなものを口にする。
  • 本作はフランスの国立劇団「コメディ・フランセーズ」を被写体に選んだ、フレデリック・ワイズマンの90年代の作品だ。
    • 演劇の練習風景。演技中の俳優たちにクローズアップするカメラ。俳優たちはどれも演技をしているし、カメラはその顔に寄っているので、一見フィクションの画面のようにも見える。というか、劇映画とドキュメンタリー映画を区別するものは、少なくともその瞬間、その画面には存在していない。
    • 途中で監督?の声がかかって演技が中断され、コメントがいくつかとび、また演技が再開される。演技が中断するとカメラが引くところなども含め、いかにもメタフィクションの一場面といった感じの始まり方だった。劇団のドキュメンタリーなので、自然とメタフィクションのようになってしまう。
    • そこからいつもの通り、組織の雑務をこなすスタッフワークにカメラは移っていく。掃除機をかけるスタッフ。電話をとり「コメディ・フランセーズ」と答える女性。縫製を担当するスタッフたち。小道具、大道具係。
  • 最近なんとか我慢をして『ブラック・フォン』を見ていたのがウソのように時間が過ぎていった。
  • 知人に薦められた『インディアナ州モロンヴィア』が見たいが、見る方法がどうもない。

生産性向上という名の奢侈

  • デスクツアーというものがある。自室のデスク環境を静止画や動画で撮影したもので、そこに音声や文字での解説が加えられる(YouTube動画やブログ記事であったりする)そして、しばしば使われている製品の紹介がついている。
  • デスクといっても現代社会なので実質的にはそのままPC周りの環境を指していることが多い。中央にはウルトラワイドモニターがあり(モニターアームに掴まれている)、示し合わせたように電動昇降デスクがあり、HHKBなどのメカニカルキーボードが中央に鎮座する。
  • 勘違いを避けるために付言すると、自分はこういった記事や動画が好きだ。よく見るし、参考にして商品を買うことがある。
  • 自分自身、インテリアや文房具、ガジェットの類を見るのが好きだし、そもそも本好きとして書斎を整えることについて愛着があるわけだが、こういった記事や動画(の特定ジャンル)には奇妙な共通点がある。それは「生産性向上」が謳い文句として出てくることが多いことだ。
  • なるほど確かにガジェットに投資することで生産性が向上することはある。
  • 例えば、PCについては厳然たるスペックの壁があって、そもそも一種の作業をできるか、できないかがスペックで決まる。3Dゲームをしたいなら相応のグラボを積む必要がある。
  • 3DCG制作をするなら更なるスペックが要求される。ソフトウェアエンジニアやデザイナーが使うPCなら、一定の要求スペックというものがある。
  • もちろん、そういった仕事や用途が直近の予定になくとも、(一般に)PCは頻繁に買い替えるものではないのでスペックは高いに越したことない。気が向いたときに新作のゲームがPCでできるとか、機械学習をいっちょ試してみるとか、といった予定の変更に対応できる汎用性を持たせておくことは大切だ。少なくとも後悔することが少ない。
  • モニターの大きさも致命的なほど作業効率に直結するし、デスクの奥行きや横幅は他のすべてに影響するため妥協することはできない。また毎月仕事・プライベートで数万字を書く人間にとってノートPCのキーボードをそのまま使うのは耐え難いだろう。そして単純に、マウスの親指ボタンでブラウザバックできないと耐えられない体に自分はなってしまった。
  • だがそのために数万円するキーボードや、1万円以上するマウスが必要なのか? こういったことを考え始めると際限がない。
    • 私見では、メカニカルキーボードで本当に世界が変わるのは1-2万円の世界で、ほとんどの場合は1万円と少しを出せばあとは趣味の世界になる(静電容量無接点方式、分割キーボード、いずれも単に作業効率のことを考えている人に必要だろうか)。
  • 「生産性向上」と言いつつ、商品の見た目に言及するケースがある。確かに所有感の有無や、「見た目で気分がアガる」ことを否定するものではないが、そういうことを言うなら必ずしも「生産性」をお題目に据える必要はないのでは。


  • 自分自身そういうものが好きなので、以下のように言い聞かせている。
    • 「生産性向上」の効果測定をすることは難しい。
    • 「生産性」ではなく自己満足、顕示的な目的での消費だと割り切った方がいい。
    • 奢侈だと自嘲せよ。
    • 仕事は生産性よりもアウトプット(結果)で評価すべきだ。
  • 使っているのがお金で、プライベートの話に留まるなら何も言うべきではないのかもしれない。そういう意味ではデスクツアー的な動画に言うことは何もない。
  • しかし、それが思想やノウハウ、一種のツールで、自分の仕事や考え方に影響しているなら、評価はシビアに結果で測られるべきだと言い聞かせるほうがいいだろう。

2023-01-19 23:14:46

Diary

  • 最近見た映画とか
    • スティーブン・ソダーバーグKIMI サイバー・トラップ』 という映画を見た。
    • SiriやAlexaのような音声アシスタントのソフトウェアの補正作業(ソフトウェアが上手く聞き取れなかった音声記録を聞いて補正する)を生業にしている女性が、仕事中に女性が暴行されている場面ではないかと疑われる音声データを発見してしまったことから、命を狙われるようになるというサスペンス映画だ。
    • コロナ禍とか#MeTooとか、時事的なトピックは散りばめられているんだけど、基本的にサスペンス映画一本槍なので、余計なことを何もしておらず最後までハラハラドキドキするだけで終わる。この潔さというかストイックさがとてもかっこいい。
    • 一見して明らかなのはヒッチコック『裏窓』の現代版であることで、そういう意味でも上手くできていた。ノッポとチビの組み合わせ、その身長差だけで「殺し屋」であることを示すB級的な簡素さ、胡散臭いブロンドの女がやたらと出てくるところ(ヒッチコックだ)、恐ろしい手段で主人公を追い詰めるも実家暮らしであることが明らかなスーパーハッカーの描写や、間抜けなのか恐ろしいのかわからない暗殺者組織の緩慢な振る舞いなど見どころがたくさんある。
    • 暗殺チームのリーダー格がジェームズ・スチュアートに似ている気がする。
  • デジタルノー
    • Joplinを使い始めた。Dropboxを使った同期ができるので、複数デバイスでメモを取りたい場合にはこれが有用そうだ。日記はこれで書いていいかも。
    • 内部リンクの貼り方は非常に面倒くさい。これはWiki形式でノートを取りたい場合、致命的な欠陥のように思える。
    • よって知識をまとめるのはObsidian、日記やいつでも参照したい知識はJoplin?
    • と思ったら一応、Quick linksとかAutomatic Backlinks to note というプラグインがあるので、エクスポートすることを考えなければJoplinでも似たような使い方はできるが、、、
  • 映画感想を書く

アバディーンについて

アバディーンという都市がある。スコットランドの北東、海沿いにあって冬はほとんど日が昇らない。

僕はかつてそこに住んでいた。小学生に上がるか否かという時期のこと、しかし正確にいつから住んでいて、いつ日本に戻ってきたのか覚えているわけではない、その程度のあいまいな期間そこに腰を据えていた。


いわゆるイギリスである。スコットランドである。とはいえ、そこはエディンバラグラスゴーではないので、日本人のほとんどはその名前を知らない。そもそもイギリスではなくスコットランドと呼ぶべき国があることが知られていないかもしれない。


ただし、ジェイムズ・エルロイブラック・ダリア』を読んだことがある人なら、あの小説の内側を流れている邪悪な魂のひとつがスコットランドアバディーンに由来していることを覚えているかもしれない。


作中での〈アバディーン〉という地名に対する書きぶりは、例えばこうだ。

ジョージィは映画に心を奪われていた、ニッケルオデオンの映画をこよなく愛していた。戦争が終わってアバディーンに復員すると、いまさらながらその町の死んだような活気のなさをまのあたりにして、カリフォルニアに行こうとジョージィはわたしを口説いた――サイレント映画の仕事をやりたいと言うんだ。ついては、わたしが一緒に行って舵を取ってやらんことには、彼一人では手も足も出ない、で、わたしはアバディーンの町を見渡し、そこには最低の人生しかないことを見定めて、ジョージィに言ったわけだよ。『そうだ、ジョージィ、めざすはカリフォルニアだ。おれたちは金持になれるかもしれない。それに、もしなれなくても、一年じゅう陽光さんさんたる地でくたばるのなら本望じゃないか』 ジェイムズ・エルロイ.ブラック・ダリア(文春文庫)(p.231).文藝春秋.Kindle版.

一読してわかるように、あまり好意的な評ではない。というかむしろ”最低”だと明言されている。アバディーン生まれの人間にしか許されないようなレベルの貶め方だ。あたかもアバディーンではなく、せめてエディンバラにさえ生まれていればこのような人生を送っていなかったのに、とでも言わんばかりの書きぶりである。 確かにそこは薄暗く、灰色の石でできた建物が有名で、冬は6時間しか太陽が地平線より上に出ない港湾都市だった。住民の趣味は散歩しか無いかもしれず、ひどい寒さで妹が中耳炎になった記憶さえある。


ハロウィーンには仮装をした、(当時の自分より年上の)少年たちが玄関口に現れてこう言う。「トリック・オア・トリート」。クリスマスには七面鳥をオーブンで丸焼きにし、クリスマスカードが暖炉のすぐ傍でディスプレイされている。テレビでサッカー、ワールドカップの予選を点けると、そこにはスコットランドが敗退する場面が映っている。ネス湖は海竜がいるはずもない小さな池のようなもので、半壊の古城が何か言いたげに残っているだけだ。そこで買ったネッシーのぬいぐるみを抱いて寝ながら、暗くなった部屋のどこかにいる幽霊に怯えていた。


そこはいわば記憶にかすかに残った異国の風景であり、第二の故郷、別の人生、ある一つの原風景だといえる。


スコットランドは古城が有名なので、ある古城の一室をツアーガイドに案内される様子がホームビデオの切れ端のように、脳内にこびりついている。そこがいつ、どこの記憶で、前後の脈絡がどうだったのか何も残ってはいない。


そこで自分は学校に通っており、弁当にポテトチップスを持ってくることがそれほど珍しくないということに驚いていた記憶がある。一方、給食ではぞっとするほどまずいゼリーを食べさせられた。


もはや断片的な記憶でしかないものを小説に、例えばホラーに生かせないかと思うクリスマスの夜だった。